フルート協会会報に寄せた、マイゼン先生への思い
一般社団法人 フルート協会の「会報No.281(2020年8月25日号)」に、新井力夫の文章が掲載されました。
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7月15日に奥様から、先生ご逝去のお知らせをいただきました。突然の事で言葉もありません。
1969年に初めてお会いした時からの50年に渡る様々な思い出が頭の中を駆け巡ります。
1970年から3年間リューベックとデッドモルトの音大で教えを受けたこと、レッスンでは特にlocker(力を抜く)・正しいテンポを知ること・フレーズ、音楽の流れをつかむこと・の3つを教示されたこと。
その後マイゼンクラスには世界中から優秀な生徒が集まり素晴らしいクラスになったこと。
1996年来日されてからは音大でのレッスン、公開レッスンを通じ日本のフルーティストに多大な影響を与え続けて下さったこと。
さらに「フルートについて考え直す」試み、というマイゼンレポートで多岐にわたる音楽観を紹介されたこと。
またフルーティストとしては、10代の頃からドイツ最高のオーケストラで活躍し、ミュンヘンのコンクールで優勝、数多くのコンサートとレコードを通じドイツから世界のソリストとして活躍されたこと、等々。
先生はフルート音楽、というものを狭い技術の枠の中だけで考えたのではなく、例えば人の呼吸、体の支え、あるいは自然の中の空気、風といったものまで広く応用した技術の上に、揺るぎない音楽を打ち立てた方、だと私は思っています。
最高のフルーティストが最高のフルート教師でもあった事実、そういう方に出会えた幸せを強く感じています。
心から哀悼の意を捧げます。